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山形国際
ドキュメンタリー映画祭2019 
日本プログラム
公式上映作品

貧困ジャーナリズム賞
2019 受賞作品

2020年・第94回
キネマ旬報ベスト・テン
文化映画ベスト・テン
第8位

第2回
米国ピッツバーグ大学
日本ドキュメンタリー
映画賞 ​グランプリ

第15回
トルコ国際労働者映画祭
​公式上映作品

福井映画祭14TH
長編部門観客賞
​受賞作品

第1回
日本の窓ドキュメンタリー映画祭 2021賞受賞

(フランス)

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第34回
ドキュメンタリー映画エステートジェネラル 上映作品

(フランス)

第20回ニッポン・コネクション
​第1回ニッポン・オンライン賞 受賞

門真国際映画祭2020
ドキュメンタリー部門
優秀作品賞

ぼく、営業成績トップ。
いま、終日シュレッダー業務。
なんで?

ドキュメンタリー映画

土屋トカチ監督作品

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”アリ地獄天国” VOD(アジアンドキュメンタリーズ)
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監督/土屋トカチ『フツーの仕事がしたい』

取材協力/プレカリアートユニオン ナレーション/可野浩太郎 主題歌/マーガレットズロース「コントローラー」
撮影・編集・構成/土屋トカチ 構成/飯田基晴 整音/常田高志 企画/小笠原史仁・土屋トカチ 広告デザイン/信田風馬(創造集団440Hz)
制作/映像グループ ローポジション・白浜台映像事務所 配給/映像グループ ローポジション

日本/2019/98分/デジタルファイル/DCP
上映

Introduction

「ブラック企業」や「ブラックバイト」といった言葉が広く認識され、大きな社会問題となった。それでも法律を無視し、不当な労働条件や長時間労働を強いる企業は後を絶たない。大企業での過労死や過労自死も記憶に新しい。政府も「働き方改革」を重要政策とし、労働環境の改善を求めるようになった。だが、新型コロナウイルスの拡大により先が見えない状況の中、いまや世界規模で失業や生活の不安が広まっている。

本作は、理不尽な労働環境に置かれた30代の社員が個人加盟の労働組合に加わり、会社の改善を求めて闘った3年間の記録である。

この不安定な世界で、どうしたら働き方を変えて、自らの尊厳を保ち、生きていけるのか。この映画の鑑賞体験は、あなたにそのヒントと、変革の勇気をもたらすかもしれない。

introduction
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Story

とある引越会社。社員は自分たちの状況を「アリ地獄」と自嘲する。長時間労働を強いられ、事故や破損を起こせば、会社への弁済で借金漬けになるからだ。本作の主人公、西村有さん(仮名)は34歳の営業職。会社の方針に異議を唱え、一人でも入れる個人加盟の労働組合(ユニオン)に加入した。するとシュレッダー係へ配転させられ、給与は半減。さらに懲戒解雇にまで追い込まれた。ユニオンの抗議により解雇は撤回させたが、復職先はシュレッダー係のまま。会社に反省の色は見られない。

西村さんは、「まともな会社になってほしい」と闘いを続け、次第にたくましく変わってゆく。

本作の監督・土屋は、仕事で悩む親友の自死を防げなかった後悔とともに、3年にわたる闘いに密着する。生き残るためのロードームービー(労働映画)。結末はいかに!

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Glossary

労働組合

はたらく者(労働者)が団結して、賃金や労働時間などの労働条件の改善を図るためにつくる団体のこと。労働者が団結し、使用者と団体交渉を行い、抗議行動やストライキ等の団体行動をする権利は、憲法第28条で保障されている基本的な権利。日本では、個別の企業ごとにつくられる「企業別労働組合」が多数を占める。

団体交渉

労働組合と使用者が対等な立場で話し合うこと。使用者側は、労働組合より申し入れられた団体交渉を、正当な理由なくして拒否する事はできない。

労働委員会

ユニオン

「企業別労働組合」と異なり、どんな職種でも誰でも一人でも加入できる労働組合のこと。「ユニオン」もしくは「合同労組」と呼ばれることが多い。映画「アリ地獄天国」に取材協力してくれたプレカリアートユニオンも、これに該当する。

不当労働行為

労働組合員に対する不利益な取り扱い、脱退工作、団体交渉拒否など、使用者が行う労働組合法違反の行為のこと。

懲戒解雇

労働組合との間で生じた争議を公正・中立の立場から解決する行政機関のこと。労働委員会は司法に準ずる機能を持つ。中央労働委員会は、二つ以上の都道府県にまたがるものや、全国的に重要な案件、都道府県労委が行った命令に不服があった場合の再審査、不当労働行為事件の審査、労働組合の資格審査などを行う。

 

民間企業において、就業規則に基づく懲戒の一つとして行う解雇のこと。労働者にとって極めて重い処分で、通常の解雇と比べ、再就職は非常に困難となり、会社に与えた損害についても労働者は厳しく追及される。裁判例では、横領や着服、長期の無断欠勤、経歴詐称、深刻なハラスメント行為などが懲戒解雇の理由として認められている。退職強要の一手段として、使用者が労働者のミスや職務態度を理由に、懲戒解雇が行われた例もある。
 

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Staff

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可野浩太郎

ナレーション

1978年大阪府生まれ。数々の舞台を経験後、モデルとしても活動。主な出演歴として【映画】イニシャルD、陽光桜【CF・広告】キリンフリー、アルファード、NTT、ソニー生命【ゲーム】龍が如く2など多数。また、古典芸能にも従事し地唄舞(上方舞)を紀尾井ホール、知恩院などで披露。近年では舞台、映画美術の経験を生かし、着物ブランド「がれりあ りあり」を立ち上げた。2018年染織意匠着物図案コンペ金賞受賞。今回が初の長編ナレーションとなる。

土屋トカチ(写真左)

監督・撮影・編集・構成・企画

1971年京都府舞鶴市生まれ。母子家庭に育ち、新聞配達・書店員・工場請負作業員・ 日雇い労働等を経て、99年より映像制作を開始。00年映像制作会社に就職。02年会社都合により解雇。06年、映像グループ ローポジションを飯田基晴、常田高志と設立。監督デビュー作「フツーの仕事がしたい」(08年)が、英国・第17回レインダンス映画祭、UAE・第6回ドバイ国際映画祭において、ベストドキュメンタリー賞を受賞。3分間ビデオ集「経年劣化」(13年)発表。監督最新作「アリ地獄天国」(19年)が、第16回山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映。同年、貧困ジャーナリズム賞を受賞。20年、第20回ニッポン・コネクションにて第1回ニッポン・オンライン賞受賞(ドイツ)。第2回ピッツバーグ大学日本ドキュメンタリー映画賞グランプリ受賞(アメリカ)。福井映画祭14th長編部門観客賞(グランプリ)受賞。第94回キネマ旬報ベスト・テン文化映画ベスト・テン第8位。第1回日本の窓ドキュメンタリー映画祭 2021賞受賞(フランス)。

主題歌「コントローラー」

1996年、早稲田大学の音楽サークルで出会った平井正也、岡野大輔、粕谷裕一の3人が意気投合し結成。2009年頃から熱海裕司がサポートメンバーで加入。2012年1月から正式メンバーとなり、現在の4人編成へ。2019年までに、10枚のアルバムを発表。2004年のライブアルバム「ネオンホール」のDVD、2007年の「ぼーっとして夕暮れ」PVを土屋監督が担当するなど、交流が深い。2008年公開の『フツーの仕事がしたい』では「ここでうたえ」。2013年発表のDVD『経年劣化』では「オクターブ上で」。そして本作「アリ地獄天国」では「コントローラー」を提供。挿入曲「6月」も平井正也の別ユニット「The Old & Moderns」による楽曲。

 

comment
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『フツーの仕事がしたい』の土屋トカチ監督の新作。運送企業のいち社員が会社側からの露骨で執拗な嫌がらせに立ち向かう、約3年間にわたる労働争議の過程を追った告発ドキュメンタリー映画。
アリさんマークの引越社の非道ぶりには驚愕するばかりだが、監督自身の体験からくる憤怒を帯びたカメラが、当節日本社会の全貌を捉え、人間の尊厳を浮上させる怒りの作法は、ケン・ローチの新作『家族を想うとき』とひと連なりだ。日本中の働く者たち、特に若者に観て欲しい。


中川 敬
(ミュージシャン/ソウル・フラワー・ユニオン)

comment

絶句するほどの劣悪な労働条件、徹底的に踏みにじられる労働者。一瞬にして鬱になりそうだった。現代の労働地獄絵図と、それでも勇気を持ち立ち上がる労働者を、カメラは捉え続けた。闘うことで、会社と社会を変えることができるかもしれない。そんな希望を感じさせる傑作だ。
土屋トカチは傷ついている人、立ち上がる人を撮影する、日本の第一人者である。これは、ケン・ローチに対する、日本からの回答だ!

常見陽平(千葉商科大学国際教養学部専任講師/働き方評論家)

「言ったところで何も変わらない」どんな組織にも発殖するイエスマン。その一人だった主人公は会社の理不尽に立ち上がる。スリリング。パワフル。エモーショナル。「絶望してはいけない」チャップリン『独裁者』の名演説を体現したような力作!!! 

太田信吾(映画監督/俳優)

死なないように生きるのは難しいから、つらい環境からは積極的に距離を取るべきだと思っている。学校で机に「死ね」と書かれていた昔の私も、そうすればよかったのだ。
 

『アリ地獄天国』を観ていると、教室に行く時の息苦しさを思い出す。それと同時に、諦めないという選択肢も久しぶりに思い出した。居場所はそこだけじゃないのにと思いながら、でも、強い気持ちになれた。
 

お客さんの心を掴む成績トップの優秀な営業マンは、
自分が働く「ブラック企業」にも訴え続けることができる。図々しくしらを切る下品な人たちが、偉くなる世界にしてはいけない 

姫乃たま(ライター/『地下アイドルの法律相談』著者)

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疲れはてた身体。蓋をした感情。行くしかない。生きるため、仕事に行くしかない。陰惨な職場。殴られる。脅される、いじめ抜かれる。でも行くしかない。

息をひそめて生き抜こうとした。でもやっぱり、おかしいだろう。そうだおかしい。


隣を歩いてくれる仲間ができた。声を張る、からだを張る、一歩も引かない仲間たち。頼もしい仲間。そうだ、きょうからもうひとりじゃない。土屋監督も肩を組む。先に逝った仲間も肩を組む。ひとりではたたかえない、だから肩を組む。


仲間がいる。ここにいる。


あなたももうひとりじゃない。
きょうから
もうひとりじゃない。


宍戸大裕(映像作家)

アリ地獄天国 ― 「仁義なき戦い」に挑む普通の人たち


それにしても愉快だ。
企業側のオラオラに対してビクともしない女性組合員。お仕置き部屋でも作業効率を求めて真面目に働く被害当事者。しなやかで、図太くて、腰が座ってて、ブレない連中による、労働者『ど根性物語』とでも言おうか。交渉に交渉を重ねた結末には、えっ、そうなの?そこまで行ったのかぁ、となった。


これまで、多くの被害者が望んでも手に入れられなかった成果を得られたことに、少し驚いた。被害当事者が、働くこと、生きること、職場環境を良くすることを諦めなかったのは、彼とともに1ミリずつコマを進めていった仲間がいたからではないだろうか。


映画は語る。
死ぬな、諦めるな、助けを求めろ、あなたが助けを求めるなら、その手を決して離さないから、と。どんな権利も、闘わなければ手に入らない。でも、諦めなければ勝てる、と。


見終わって、胸が熱くなって涙が出るのはどうしてだろうか。

 
辛淑玉(人材育成技術研究所)

「労働者」「従業員」といっても、誰しもが人の子である。または人の親である。労働の現場では無視されがちな、そんな人間の素の姿がたしかに映しだされていて、観ている間、何度も胸がつまり、観終わってからも思いだしては胸が震えた。雇う側が労働者の生殺与奪を握って平然とする。その倒錯が常識として定着したこの世界で、この『アリ地獄天国』は、小さな、しかし燦然と輝く希望を見せてくれた

木村友祐(小説家)

映画ファンの私がなぜ見逃してきたのか。労働運動をテーマとするドキュメントでは、これは屈指の傑作である。30代の元SE・西村有(仮名)は、いかにも東京のホワイトカラーらしいたたずまいのままで、淡々とシュレッダーの労苦に耐えながら、内心では決して屈しない労働者に変わってゆくようすが心をうつ


まともな闘いを放棄しなければ、こんな非道な労務も斥けることができるのだ。土屋トカチがこのような制作ができたのも、彼がかつて友人「やまちゃん」の過労自殺にいたる孤独を救えなかったという悔いを心に宿しながらの仕事だったからだろう。この作品は、貴重な情報提供の意義を超えて、私たちの心に忘れ難い印象を残す。

熊沢 誠(甲南大学名誉教授)

来る日も来る日もシュレッダーの前に立ち、大量の文書を粉砕する青年。会社が彼に命じた仕事は、その横暴の証拠を隠滅させるかのような強制労働だ。巨大なゴミ袋をサンタクロースのように担ぐ彼は、組織の権力者により働きアリの地獄に落とされた。
しかし彼は目覚める。組織はそれを支える全ての人々のために存在すべきではないのか。権力のいいなりにはならない。権力の横暴を許さない。人生を取り戻せ。
会社とは文字通り社会の裏返し。彼の闘いは私たちの闘いでもある。権力が暴走する日本でいま最も重要で必要な映画、それが「アリ地獄天国」。
アリよ、蝶のように舞い、蜂のように刺せ!社会を刺せ!時代を刺せ!日本を刺せ!

村上浩康(映画監督)

会社って、何のために大きくするんでしょう?そこで働く人たちが皆、働きやすくなるため、生活が楽になるためじゃないでしょうか?ここまでブラックにならないと大きくならないんですか?むちゃくちゃ本末転倒じゃないですか?
土屋トカチ監督の『アリ地獄天国』は、ブラック企業と闘う労働者の映画ですが、会社とは何かと問われる映画でもあります。
労働者だけでなく、経営者の皆様にもぜひ見ていただきたいです。

迫川尚子(写真家/ベルク副店長)

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Theather

イベント上映

​神奈川

15回開催記念FES

2023年9月19日(火) 13:30~19:00(途中休憩あり・入替なし)

入場料 一般 1,000円(当日券のみ)

上映作品

『東京干潟』(村上浩康監督) 『アリ地獄天国』(土屋トカチ監督)

3分間ビデオ制作入門講座 セレクト15作品上映

3分間ビデオ制作入門講座は今年で15回目!

それを記念して講師二人の監督作品と

過去14年間から15作品をセレクトして上映します。

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